2000.12.4 眠れなかった。 何からどう片付けていったらいいかわからなくなっていた。友人に話した。「それができるんだったらなんでheartzさんにぶつけないのよ。」それができない。できなくて苦しくてその結果の行動だったのだから。最初から2度と会う気がなかった。『アドレス教えて。』 そう言われて迷わず、使う目的もないのに取ってあったWebメールのアドレスを教えていた。体は感じたけれど、心は何も感じなかった。帰りの電車で思い出してみても顔も思い出せなかった。別れた瞬間にその時間を切り取って、まるごとごみ箱に捨ててきたみたいだと思った。後悔だけが残った。帰るとその男からメールが届いていた。 後悔は筋違いな怒りに変わった。「heartzさんが悪いんだ。こんなになるまで気がつかないheartzさんが悪いんだ。」その男からのメールをそのままコピーして、メールで送った。「もう放っておかれるのは嫌。」2日ぶりのメールはいきなりそう書いて送った。捨て身の行動だった。 「これで嫌われてもしょうがない。もう限界だ。」
結局私に残ったのは空っぽの快感と後悔だけだった。 M女性の言葉の中に、「ご主人様の愛を感じた。」と言うのが頻繁に出てくる。叩かれて、縛られて、物のように扱われても、彼女達はそれを「与えられた愛だ。」とはっきり言っている。私にはそれがわからなかった。heartzさんに会った後は、その時間が楽しければ楽しいほど、感じれば感じるほど、心がささくれた。泣きながら帰ったこともあったし、気持ちが滅入って仕方がなくなった事もあった。「こんな事を望んでいたのか。」その自問自答が繰り返されて、止まらなくなった。heartzさんだから辛くなるんだ。こんな想いをするのなら、heartzさんじゃなくてもいいはずだ。私はそんなところに辿り着いた。暴走を始めると私は前に進む事しかできなくなる。それが間違っているとわかっていても走り出したら止められない。間違っていたら間違った道をどんどん進んでいってしまう。それを修正するにも、後戻りができない。時間がかかっても回り道をして、戻っていかなければならない。遠く離れてしまったところで、私は大声で叫んでいた。「もうそこへは戻れない。」でもheartzさんは待っていてくれた。 「俺とお前が離れていく場合はお前が離れていくか、俺が死ぬかどっちかだ。俺から離れていくことは絶対無い。」それでもまだ信じないと騒ぐ私を、ただじっと待っていてくれた。「お前はここに戻ってこれる。大丈夫。」そう言われてる気がした。 無理に引っ張られて戻されても、私はまた迷ったはずだ。あきれて離れてしまわれていたら、死ぬほど後悔したはずだ。そうされてもおかしくなかった。でもheartzさんは待っていてくれた。「あほか。」と笑って・・・。 そして私はやっと進みだした。縛られながら、戻ってきて良かったと思った。みんなが言う「愛」が、少しわかった気がした。